蒼き山嶺

墨絵の様なグラデーション

9月中旬 午前8時半 丸山林道

 雲海は陽が昇るに連れ薄いモヤとなり、そのモヤもカスミとなって徐々に引いて行った。蒼い空と山並みが連なるだけのシンプルな光景だが、蒼から白へ、白から蒼へのグラデーションの美に吸い込まれる。濃淡の有る前景の山々が中景を引き立てている。

 何かに似ている。そうだ!。青い墨絵の世界だ。空一面の雲が色を受けて光り輝く様な富士山も大好きだが、垣間見せる一瞬の移ろいの表情も捨て難い。部屋に掛けるには後者の方がしっくり来るかも知れない。

 夜明前から立ちっぱなしで、太陽の動きと共に変わって行く富士山の表情を視ていると、こんなシーンになった時に初めて何時間も過ぎていた事に気付く。いつもはこの辺りで切り上げて少し仮眠した後、昼までに東京に帰る。

 しかし良いシーンに出逢った朝は心地よく、空振りだった朝はもう一日山に居ようかと空に訊いて、雲の変化が続くは夕景の時間までゆったりと過ごしたりと、楽しくも長い一日が過ぎて行くのである。

 

ほぼ毎月上旬に、ときめきの富士にエッセイを付けて1点発表します。
現在ときめきの富士は62作が出来ました。

それは今年、「誰も見たことのないときめきの富士」という本になり好評発売中です。

現在HPのときめきアルバムには55作を収蔵しています。